夜勤明けの体は、自分のものじゃないみたいに重い。
お腹は空いているのか空いていないのかも分からない。とりあえずコンビニで買ったパンとコーヒーで済ませて、帰って倒れるように寝る。起きたら夕方で、頭が痛くて、また何も作る気になれない。
私は看護師として7年間、夜勤のあるシフトで働いていた。あの頃の夜勤明けは、だいたいこんな感じだった。食事どころではなかったし、何を食べるかを考える余力もなかった。
夜勤明けに食べるものを変えると、翌日の戻り方が変わる。
頑張って自炊する話ではなくて、「何を選ぶか」と「いつ食べるか」を少し変えるだけの話です。
夜勤明けの胃腸は、思っている以上に弱っている
夜勤明けにどっと疲れが出るのは、寝ていないからだけではない。
消化管の働きも体内時計に沿って変動していて、深夜から早朝は消化の働きが落ちる時間帯にあたる。その時間に起きて動いて、間食をして、緊張状態が続いている。胃腸からすると、休むはずの時間に働かされ続けた状態になる。
加えて、夜勤中はずっと交感神経が優位になっている。腸が動くのは副交感神経が優位なときなので、勤務中は腸の動きが抑えられたままだ。明けに帰宅してようやく緊張がゆるむが、そのタイミングで重いものを入れると、弱った胃腸に一気に負担がかかる。
夜勤明けに揚げ物や甘いパンを食べると、そのあと胃がもたれたり、寝ても回復しなかったりするのはこのためだ。
帰宅直後に食べるなら、軽く・温かく
「明けは何も食べずにすぐ寝る」という人も多いけれど、空腹のまま寝ると起きたときに胃腸が動き出すきっかけがない。そのまま夕方まで何も入らないと、腸が動かない時間がさらに延びる。
かといってしっかり食べると眠れなくなるし、消化に体力を使って睡眠が浅くなる。だから帰宅直後は「軽く・温かいもの」に寄せるのがちょうどいい。
- みそ汁 温かくて水分と塩分が同時にとれる。発酵食品でもあるので、夜勤の週に切らしたくない発酵食品をここで確保できる。わかめやなめこを足せば水溶性食物繊維も入る
- 常温のヨーグルト 冷えたまま食べると胃腸に負担なので、少し置いてから。無糖のものにオリゴ糖やバナナを足すと、善玉菌とそのエサが同時にとれる
- おかゆ・雑炊 消化がよくて温まる。前夜の残りごはんで作れる
- バナナ1本 何も作れない日用。水溶性食物繊維とオリゴ糖が入っていて、そのまま食べられる
逆に、明けに避けたほうがよかったと思うものもある。
- 揚げ物・こってりしたもの 消化に時間がかかり、睡眠が浅くなる
- 甘いパン・菓子パン 血糖値が急に上がって急に下がるので、寝つきはよくても途中で目が覚めやすい
- 帰りのカフェオレ 明け方のカフェインは眠りを浅くする。どうしても飲みたいときはカフェインレスにする
- 冷たい飲み物を一気に 弱っている胃腸をさらに冷やすことになる
寝すぎた日ほど、次がつらかった
正直に書くと、私は夜勤明けに15時間以上寝てしまうことがよくあった。疲れすぎていて目覚ましも聞こえない。気づいたら次の日の朝だった、ということも珍しくなかった。
でもそうやって寝た日ほど、夜になっても眠くならず、次の勤務までリズムが戻らなかった。長く寝たのに体は重いままで、何のために寝たのか分からない感覚がずっとあった。
体内時計の面から言えば、明けは3〜4時間で一度起きて、夜に普通の時間に寝るほうが戻りは早いとされている。当時の私にはできなかったし、無理に起きられるものでもないと思う。ただ、もし起きられるなら短く切ったほうがいい、というのは今なら分かる。
起きてからの1食が、体にとっての「朝」になる
ここが一番大事だと思っている。
胃に食べ物が入ると大腸が大きく動く(胃・結腸反射)。この反射は空腹の時間が長いほど強く起きるので、起きてからの最初の1食は、腸を動かす合図として使える。
だから明けに起きたあとの1食は、抜かずにちゃんと食べたほうがいい。ここを抜いてお菓子でつないでしまうと、腸が動くきっかけがないまま1日が終わる。
起きてからの1食に入れたいもの
- 温かい汁物(みそ汁・スープ)で胃腸を起こす
- 発酵食品を1つ(納豆・ヨーグルト・キムチのどれか)
- 食物繊維を1つ(わかめ・きのこ・切り干し大根・バナナなど)
- たんぱく質を1つ(卵・豆腐・鮭など)
全部そろえなくていい。汁物+発酵食品の2つだけでも、何もない日とは違う。
作れない日のための備え
明けに料理をする体力は残っていない。当時の私は何の準備もしていなくて、だから結局コンビニで済ませていた。今振り返ると、先に用意さえしてあれば違ったと思う。
- インスタントのみそ汁を置いておく(お湯だけで済む)
- 乾燥わかめ・カットねぎを買っておく(切る作業をなくす)
- きのこは買った日に冷凍して小分けにしておく
- 納豆とヨーグルトを切らさない
夜勤の週は、料理をする日ではなく「用意してあるものを食べる日」と割り切っておくほうがうまくいくと思う。
体調が戻らないときは
ここまでは食事で整えられる範囲の話だ。
明けの疲れが何日も抜けない、動悸やめまいがある、食欲がまったく戻らない、気分の落ち込みが続く——こういうときは食事の問題ではないことがある。夜勤が続く働き方は、体にも心にも確実に負荷がかかる。
現場にいた頃、自分の不調を後回しにする人を何人も見てきた。私もそうだった。おかしいと思ったら、生活習慣で片づけずに一度受診してほしい。
まとめ
- 夜勤明けの胃腸は、消化の働きが落ちる時間帯に働かされ続けて弱っている
- 帰宅直後は「軽く・温かく」。みそ汁・常温のヨーグルト・おかゆ・バナナ
- 揚げ物・菓子パン・カフェイン・冷たい飲み物は明けには向かない
- 明けに寝すぎるとリズムが戻らない。起きられるなら3〜4時間で切って夜に寝るほうが戻りやすい
- 起きてからの1食が体にとっての「朝」。ここを抜かないことが一番効く
夜勤そのものはなくせない。でも明けの数時間の使い方は自分で決められる。あの頃それを知っていたら、もう少し違ったと思う。